楽することと、楽しむことと。

この4月でセツモードセミナーが
閉校します。
すでに、他界されていますが
代表であった長沢節さんの
生誕100年を節目に
その歴史を閉じるそうです。

長沢節さんは
ファッションスタイル画の分野で
革命的なお仕事をされて、
その後、セツモードセミナーを
開いてからは
60年代から90年代にかけて
キラ星のデザイナーやクリエーターを
輩出してきた奇跡のような学校を
立ち上げられた方です。

もっとも、節さん
本人からすれば
学校というより、サロンと
いったほうがしっくりくるのかもしれません。

与謝野晶子らが
興した文化学院を経て、
戦前の池袋モンパルナスで、
我流を貫き、
その時代の潮流とは逆行する
ように、細いモデルが好きと言い、
命の一瞬を切り取ったような
スタイル画で若者たちを
熱狂させた節さんの思想が
セツモードセミナーには
詰まっていました。

私自身は絵も描けませんし、
もちろん、セツに通ったことも
ありません。
当然、お逢いしたことも
ないのですが、
この学び舎が
無くなるということが
本当に悲しい。

高校を出て、こちらで
浪人をしている時に
文化学院か、セツかで、
迷った一時期が ありました。
結果的に自分の出来ることを
考えて、日芸にしましたが
今、思えば諦めることを
諦めればよかったのかもしれません。
その後、バンタンデザインで
仕事をしたのもその辺りが起因していた
ようにも思えます。

とにかく、
果てしなく、遠くて、高貴で
憧れの存在でした。
むしろ、近寄ること
すら出来ませんでした。

セツ内のカフェでは、
先生が生徒にコーヒーを
淹れるそうです。

そしてそこには
「下品な缶ジュースはセツに持ち込まないで
下さい」
との貼紙。

卒業式の祝辞で
節さんが語った言葉。
「君たちはこれから社会にでて
いかに楽をして人生を生き抜いていくのかを
真剣に考えなくてはならない。」

こんな言葉を言えるのは
彼一流の美学があるからでしょう。

楽すること、
楽に生きていくということは
別に悪いことじゃない。
人がどう言おうが
楽しんで生きているやつが
一番強いんだ。

真意は違うかもしれませんが
私はこのように受け取っています。

皆さんは
どう思いますか?

amuse bouche

湘南ゼミナール 広告宣伝部、広報室のメンバーによる コラムメディアです。 みなさんから 寄せていただいたコラムを 少しづつ、紹介していきます。 日々のクリエイションの中で、 見つけたことや 感じたこと、 考えたことなどを 共有してみませんか。

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